2015年11月30日月曜日

東京でも庶民的な飲食店が多いことで名高い四谷の荒木町近くに住み始めて10年余り、月日の経つのは早いものだと実感しています。

荒木町には、約250軒の食事処やスナックがあるときいています。「出没!アド街ック天国」などテレビ番組でもよく取り上げられたり、ミシェランで有名な店もあります。 住み始めて最初の頃は、次から次へ、新しいお店に入っては、食事後、どんなふうだったかと話し合っては、楽しんでおりました。

その内に贔屓のお店が出来てきました。今はその数軒を順番に回っています。なぜ贔屓になったのか考えて見ると、あることに気が付きました。勿論、料理の形式や味が自分の好みであることが一番の基本になることは当然ですが、それに加えて、お店のご主人、フロアーでサービスを担当している人達の人柄が、大きな判断基準に加わります。

彼らは客に喜んで貰おうと、料理をたえず工夫します。食材の吟味、仕込み、下ごしらえ、配膳の段取り・・・客に見えないところにも気を抜かず、その一生懸命さが伝わって来て、気持ちがお料理にしっかり表れます。 行きつけのお店のほとんどは、席数が15席未満のちいさなお店ですが、ご主人が料理長で調理責任者、奥様はフロアー担当というケースが多いです。 素人然としたフロアーの奥さんも一生懸命に気配りをしてくれます。 それらのお店は、客席も厨房も狭くて充分な余裕はありませんが、その環境の中で工夫し、研究している努力が感じられます。 この若い料理人達の「一生懸命さ」は自然に伝わり、それが何より大切なのではないかと思いました。

料理人に限らず、勉強し、工夫し、努力し、人の心を掴むことは、自らの未来を掴むことなのだと思います。