2013年8月2日金曜日

ポップアートが生まれて半世紀が経過しました。 美術に親しんできた人々の中には、ポップアートは芸術ではないと言う人がよくいます。

宗教の意味を説く芸術、自然の美を描く芸術、装飾的な芸術などとは、題材、表現方法からして見たところ非常に異なっていて、馴染めないからでしょう。 ポップアートの一番の特徴は、「身近なもの」を題材にしていることです。スーパーに並ぶスープの缶詰めでも芸術にしました。  芸術が持っている一面には、それぞれの時代の象徴的なものが何であるかを見る人に訴えているということがあると思います。例えばキリスト教がその時代に大きな意味があれば、キリストの絵が多く描かれました。

ピカソが偉大な芸術家である理由は、それ以前の絵画のコンセプトを大きく変えたことにあると思えます。 ポップアートも同様の流れの延長にあり、歴史的に見ても決して取り上げられなかった題材を、あえて芸術にしてしまいました。 あらゆる物事は、角度を変えて見れば、考え方を変えれば、規定概念を覆し、もっと他にも数々の見方があるということを人々に伝えているのだと思います。

もう一つの特徴は、ポップアートは、作品を見る人の見かた次第で、いろいろな解釈ができると言うことがあると思います。俗っぽく言えば、スープ缶の絵は、それぞれのスープの味がします。見る人の好きなスープも選べましょう。キャンベルスープを並べたら、デザイン的に綺麗になりました。色あい、プロポーション、ちょっとの違いがある各々のスープ缶の描き方等々、見る人のイマジネーションで、違う意味が導き出せます。

六本木の国立新美術館でポップアート展が開催されています。 アメリカの一時代の文化を生んだ作家たちの作品が展示されています。ご覧になって下さい。

<アメリカン・ポップ・アート展>

期間:2013.8.7(水)~10.21(月)
公式ホームページ http://www.tbs.co.jp/american-pop-art2013/

2013年3月19日火曜日

国立新美術館で「アメリカン・ポップ・アート展」を開催します

アンディ・ウォーホルの名前は、ほとんどの方がご存じのことでしょう。 ウォーホルが、キャンベルスープの缶を題材に作品をつくったのはあまりにも有名だと思います。 ウォーホルは、スロバキヤからアメリカに移民してきた両親の子でした。そして、その極めてユニークな発想を基に、現代美術家として世界の頂点にたちました。美術界におけるアメリカンドリームを実現した代表的人物とも言えましょう。

1960年代から、名が出始め活躍したアメリカが誇る現代美術家の中には、ロイ・リキテンスタイン、クラウス・オールデンバーグ、ジム・ローゼンクエスト、トム・ウエッセルマン等がいます。このアートは、今日では“ポップ・アート”と呼ばれ、美術史の一時代を築き、社会・文化に幅広く影響を与えた芸術活動です。 59歳と若くして死んだウォーホルはその第一人者といっても過言ではないと思います。 私がアメリカに渡ったのは、1963年ですから、まさにウォーホルが有名になりかけた時代です。

その時代、ニューヨークには無数の芸術家が活動をしていましたが、今日、その名を遺した人達は、そうたくさんはいません。現在では高名となった作家達の作品を、当時無名に近い時代に収集したコレクションを私の財団法人が所有しております。 そのコレクションの内のポップ・アート300点ほどを、2013年8月7日から10月21日まで、国立新美術館で開催される「アメリカン・ポップ・アート展」に公開します。 第2次世界大戦後、アメリカが飛躍的に栄えた50年前、大量生産、大量消費時代当時の既成概念を打ち壊した芸術活動が始まりました。芸術の枠を解放した、その若き作家たちの作品をご覧になって下さいませ。

<アメリカン・ポップ・アート展、公式ホームページ>

http://www.tbs.co.jp/american-pop-art2013/